文献紹介
古代ローマ史
Arnold H. M. Jones, The later Roman Empire 284-602 : a social, economic and administrative survey, 2 vols., Oxford: Blackwell, 1986 (reprint. Originally published in 1964).
後期ローマ帝国(表題にある時期のローマ帝国)の社会や制度に関して基本的な情報を収集するうえで便利な参考書です。注と合わせて、基本的な一次資料の情報を集めることができます。
Oliver Nicholson (ed.), The Oxford dictionary of late antiquity, 2 vols., Oxford: Oxford University Press, 2018.
後期ローマ帝国のみならず、ササン朝ペルシア、初期イスラーム、初期中世、東方キリスト教等々も幅広く包含して地中海周辺を把握しようとする古代末期に関する事典です。耳慣れない文献や人物、出来事について、簡単な情報と参考文献を探すうえで便利です。
Albert Blaise, Dictionnaire latin-français des auteurs chrétiens, Turnhout: Brepols, 1954.
ローマ帝政後期キリスト教著作のラテン語辞典です。単語の意味の広がりや文法事項を把握する上で、古典ラテン語辞典では拾われていない情報を提供してくれる点で有用です。
西洋中世史
エラスムス『痴愚神礼讃』 渡辺一夫・二宮敬訳(中公クラシックス、2006年)、沓掛良彦訳(中公文庫、2014年)
人文主義者エラスムスによる風刺文学の逸品です。宗教・学問・政治に通暁したゆえの鋭い批判精神を学び取ってください。
カルロ・ギンズブルグ『チーズとうじ虫―16世紀の一粉挽屋の世界像』杉山光信訳(みすず書房、1984年)
私たちはヨーロッパ中近世の民衆文化にどれだけ迫ることができるでしょうか。異端審問記録を読みとくことで、著者は私たちに歴史学の難題と可能性を考えさせてくれます。
デイヴィド・アブラフィア『地中海と人間』高山博監訳(藤原書店、2021年)
先史・古代から現代にいたるまでの地中海と周辺地域の人間・社会・文化の歴史を壮大に描いています。
西洋古典
久保正彰『ギリシァ思想の素地 ヘシオドスと叙事詩』、岩波新書、1973年
荒井献『イエスとその時代』、岩波新書、1974年
古い本ですが、私が学生時代に読んだ本でこの2冊のみ、なぜか特別に、内容とは別にそれぞれ何ともいえない緊張感あるいは気迫を感じたのを今でも思い出します。荒井先生(昨年逝去)の本は、『荒井献著作集1』(岩波書店、2001年)に再録されています。