2017(平成29年)
19世紀イタリアの詩人・思想家ジャコモ・レオパルディー (1798-1837)は、時代を超えるその詩的言語と近代批判によって、近現代史の節目節目において新たな視点から読み直され続けてきました。
統一前のイタリア社会の閉塞的状況の中、時空の無限の広がりに連なる言語をもとめたその思索は、懐古的古典主義にも感傷主義にも堕するすことなき文体と新たなリリスムを生み、表層的な進歩主義や単純な自然への憧憬を拒否する徹底した懐疑と内省が、その宇宙観とともに、現代の読者の新たな読みと再評価を誘っています。
この度、ローマ大学「ラ・サピエンツァ」教授、フランコ・ディンティノ先生による講演会を、5月10日(水)・12日(金)東京大学駒場キャンパスIにおいて開催します。(イタリア語:通訳あり)
レオパルディが詩集 I Cantiのかたわら、生涯を通じて記し続け、その思索と詩的言語生成の過程を写した膨大なノートであるZibaldone(雑記帳)のはじめての英語完訳に携わった先生に、翻訳を通して新たに明らかになったレオパルディの重層的な言語観と近代批判の眼差しについてうかがいます。「翻訳」という作業やそれを通した研究の営み自体についても、お話しいただく予定です。
現在の日本で広く知られているとは言えないこの稀有のイタリア詩人の世界観と清冽な抒情の魅力にふれる貴重な機会です。
イタリア文学、19世紀ヨーロッパ文学に限らず、近代の詩的言語や翻訳論にご興味のある方のご参加もお待ちしています。